無料ブログはココログ
2025年7月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

« メメント・モリ | トップページ | ”どじょう踊り”の里を走る(なかうみマラソン全国大会) »

2017年11月 3日 (金)

村上春樹とランニング

  小生は、村上春樹を読んだことはない。世の中には「ハルキスト」と称して、彼の信奉者が結構いるらしいが、小生は全く関係ない。別に毛嫌いしているわけではないのだが、毎年ノーベル文学賞に候補としてあがり、マスコミに騒がれるのを見るのに飽きてしまったのである。

 

 いくら飽きたからといって、彼の執筆を読まないわけではない。というのは、彼の趣味が、ランニングである。フルマラソンを幾度となく完走しているし、さらにボストンマラソンも幾度か完走しているのだ。 時には、トライアスロンにも参加しているくらいのアスリートである。彼の著書である「走ることについて語る時に僕の語ること」に、彼の走ることに対しての考えが、たっぷりと述べられているのだ。

 

  小生は、彼ほど本格的なマラソンをやるほどの気力や、金はないが、その考えには、うなずくところが多い。小生の考えをまさに、言葉で表現し、具現化する才能は、素晴らしいものである。手放しで、納得できるのだ。ただし、この本で、一人称に「僕」という言葉使いをしているのが、気に入らない。まあ、これは、感覚の問題だろう。一人称に「小生」とか「私」という言葉の方に、自然な響きを感じる。普段この使い方に慣れているのだから、これは仕方がない。

 

 「走る作家」という彼の評判は、素晴らしいものであり、揺るぎない。そして、彼の著書に、直接そして間接に、強く影響を受けている読者が多いのも、また事実である。 毎年、10月になると、ノーベル賞ノミネートに彼の名が上がるのは、当分続くのかもしれない。受賞するのは、いつになるのだろうか。

 

 受賞しない方が、彼の名声の継続性という意味では、いいのかもしれない。

 

  次の6つのフレーズが先程の本の中で特に印象に残った。これらの6つは、日々小生が、走っている時に感じていることそのものである。こういう文に、巡り合うと、その日、一日が、嬉しくなるから、不思議だ。

--------------------------------------------------

 

”走ることについて語る時に僕の語ること:村上春樹”からの引用

① 人の基本的性格は、それほどドラスティックに変わるわけではない。一人になりたいという思いが存在したときには、一日一時間ばかり、走り沈黙の時間を確保するということが、精神衛生上、とても重要な意味を持つ。少なくとも走っている間は誰とも話さなくていいし、誰の話を聞かなくてもいい。ただ風景を眺めて、いればいいのだ。なにものにも換えがたい貴重なひとときである。

 

② 走っているときに何を考えているのかという質問を受けることがある。そんな質問をするのは、だいたいにおいて、長い時間は知った経験を持たない人々である。こんな質問をされると、回答に困るのもまた事実である。思い出せないからだ。結局、何も考えてないと答えるしかないのだ。

 

③ 日常生活で、特に還暦を過ぎると、他人と優劣を競い合い勝敗を競い合う生活は、今後の生き方ではない。いろいろな人がいて、いろいろな価値観で世界が成り立っているのだから、それに沿ったいろいろな生き方があるのだろう。

 

④ ゴール。やっとゴールにたどり着く。達成感などどこにもない。頭にあるのは「もうこれ以上走らなくてもいいんだ。」という安堵感だ。

 

⑤ 集中力と持続力は、ありがたいことに才能の場合と違って、トレーニングによって、後天的に獲得し、その資質を向上させていくことができるのだ。もちろん我慢が必要である。しかしそれだけの見返りはある。

 

⑥ 「しっかりと練習を積んだおかげで、マラソンで素晴らしいータイムを出すことができた。ゴールインは、誠に感動的だった。」というような力強い結びの言葉で締めて、勇壮な「ロッキーのテーマ」で夕日の中をクールに去ってしまいたかった。それがプランAであった。しかし現実の人生にあっては、物事はそうは都合良く運ばない。そんなわけで、いつもプランBを準備しておかなければならないのが、人の常である。

« メメント・モリ | トップページ | ”どじょう踊り”の里を走る(なかうみマラソン全国大会) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 村上春樹とランニング:

« メメント・モリ | トップページ | ”どじょう踊り”の里を走る(なかうみマラソン全国大会) »