逆説の10か条(ケント・M・キース)
現役時代のことである。取締役の部屋に呼ばれたときであった。今となっては、なぜ呼び出されたのかは忘れたのだが、その取締役の部屋の壁にに”逆説の10か条”というのが、貼り出されたあったのだ。なかなか意味深の格言みたいなものであったのだが、読んでみると記憶に残るいい内容であったのだ。この取締役は、職位を鼻にかけるような人ではなく、人望があるのだった。(ちょっと珍しかった。)
毎度のことながら、親友のタダノ教授(と言ってもすっかり引退したのであるが)と飲んで話しているときのことであった。この”逆説の10か条”が話題に上がったのだ。小生は、何気なく、以前の職場で見かけたと話しただけなのだが、流石にタダノ教授だ。この格言の、いきさつをよく知っていたのだ。本当に彼の博識には感心するのだ。
ケント・M・キースという青年がハーバード大学に在学中で19歳のときに、高校生のリーダークラスを相手に講演したときの述べたというのだ。今はアメリカの行政官僚をやっているというのだ。そして、、この青年は、小生の世代とは、わずかに5つほど年上だという。このオッサンは、ハーバードだけでなく、オックスフォードで学び、更に早稲田大学でも学んだという。そしてハワイ大学で、法学博士号を取得しているのだが、天才なのであろう。タダノ教授や小生たちは、理工学なので、畑違いであるが、彼の素晴らしさは十分に理解できる。アメリカには、こんな天才がいるものだと、タダノ教授といっしょになって感心したのであった。
ここからが、タダノ教授の博識の一旦なのだ。この”逆説の10か条”を広めたのは、マザーテレサだというのである。彼女が、この格言に触れて、とても感動したらしく、広めたのだった。その時は、マザーテレサの言葉としてだったようだ。作者当人がこんなに広まったのを知ったのは25年後だというのにもまた驚きである。長い年月をかけて今日に至るまで、口伝で、写しで、インターネットで、作者本人の知らない間にゆっくりと広まり、今では、世界中で愛される格言となっている。今では、この行政官のオッチャンの言葉だということで、広く知れ渡っているのだから、マザーテレサの力をあらためて確認する次第だ。
逆説の10か条
1 人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
2 何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
3 成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい。
4 今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
5 正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6 もっとも大きな考えをもったもっとも大きな男女は、もっとも小さな心をもったもっとも小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7 人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8 何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
9 人が本当に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。
10 世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
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