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学問・資格

2026年3月25日 (水)

完全数

 キリンビール(株)がクラフトビール事業に本格的に乗り出すために”スプリングバレー・ブルワリー”と言う会社を設立したのであったが、そのクラフトビールの一つに『豊潤ラガー496』という商品がある。プロモーションのために、女性社員が、試飲会で、このビールの特徴を説明していたのだ。その時に、「496」と言う数字が気になったので、ビールにこの数字を使った理由を訊いたのだ。彼女によると、”496”が完全数だからということで、名付けたという。『完全数?』と、疑問が湧いたのであり、後日、タダノ教授に訊いてみたのである。

 

 タダノ教授によると、工学部に所属しているが、完全数をしらない学生がいるという。その意味では小生もまたその一人かもしれない。技術者を自認していたのだが、完全数という言葉を初めて聞いたのである。彼がこの”完全数”について、説明してくれたのである。そしてこの言葉は、「ピタゴラス(ピタゴラスの定理で、有名だ)」が名付けたというのだ。そして、1000以下の完全数(perfect number)は4つのみだという。

・6  ・28   ・496   ・8128

 

これらの数字の共通点は、自分以外のすべての約数を足すと、自分自身の数になるのだ。と、タダノ教授は教えてくれた。

例えば、6の場合、

6 ÷ 1 = 6

6 ÷ 2 = 3

6 ÷ 3 = 2

6 ÷ 6 = 1

 

自分自身の数である6を外して足すと、 1+2+3=6 となる。これを”496”で同じことをすると、10個の約数となる。

496 ÷ 1 = 496

496 ÷ 2 = 248

496 ÷ 4 = 124

496 ÷ 8 = 62

496 ÷ 16 = 31

496 ÷ 31 = 16

496 ÷ 62 = 8

496 ÷ 124 = 4

496 ÷ 248 = 2

496 ÷ 496 = 1

 

そして496以外の数である9個の数字をすべて足すと、

1+2+4+8+16+31+62+124+248=496

 

小生は思わず「オーッつ!」と、思った次第である。タダノ教授は、本当によく知っているのだと感心したが、彼は、ネットで検索すると、もっといろいろなことがわかると、教えてくれた。さらに、タダノ教授は、この496には特別な性質が有り、『宇宙の真理』とも、言われているらしい。このあたりは、ネットの情報を検索したらいいらしいが、小生にとっては、これだけで十分だ。

 

 更に、タダノ教授によると、完全数は、2024年までに52個発見されているとのことだ。彼は、理工学部の担当なので、本当によく知っているし、わかりやすく説明してくれるのだった。

2025年7月15日 (火)

大阪経済大学講演会とビール試飲

 最近は、猛暑日が続く毎日である。そんな中の7月12日(土)に大阪経済大学で一般向けのビールをテーマとして講演会が有り、参加したのである。”講義””講義+試飲”の2つのコースが有り、当然のことながら、”講演+試飲”を選ぶのだった。会費は、講演(300円)+試飲(700円)である。参加申込は、ネットなのだが、すぐに定員になったようだ。それなりに人気があるというわけだ。人気の理由の一つは、兵庫県三田(さんだ)市が開催している「三田ビール検定」の試験に点数がプラスされるのである。

 

013_20250714132501 012_20250714132501 011_20250714132501  大阪経済大学の最寄り駅は、大阪市東淀川区にある大阪メトロの「瑞光四丁目」である。しかし、小生は、阪急京都線の「上新庄」が便利なので、少し距離があるが、ここを下車して、約20分ほど歩くと到着だ。ただし、この時期の日中は気温が35℃を超える猛暑日だから、到着したときには、汗ぐっしょりとなってしまった。それでも講義会場はクーラーが効いているので、涼しい。汗もひくのだった。

 

 午後1時から、講義が始まる。この講義の意義を大阪経済大学経済学部の上宮智之准教授が説明して、その後学生(院生?)がプレゼンテーションを始めたのだ。この准教授がビール好きのようだ。その上、三田ビール検定の合格ピンバッチをつけていたのである。 ビールを日本で始めて醸造したと言われている”川本幸民”のプロフィールと、彼がどのようにビールを醸造したのかを説明だ。始まって30分ほどすると、今度は、”白雪酒造”の顧問が更に詳しく、ビール醸造について、解説するのだった。そして最後の30分は、キリンビールの社員が5人ほど出てきて、クラフトビールについての製品(商品?)紹介だった。

 

 全部で、1時間半の講義であった。ビール醸造のサワリがわかったという程度である。

 

 010_20250714132901その後は試飲会だ。まずは、日本人として初めてビール醸造した「川本幸民」の復刻ビールが提供された。香りがややきついが特にうまいというほどのもので003_20250714132801 001_20250714132801 はなかった。この復刻版のビールに関しては、別の記事(多分11月以降にアップする)つもりである。 そして、キリンビールのクラフトビールを3種類試飲したのである。つまみとして、ナッツを小分けした袋と、ミニチョコレートが配られた。ビールにチョコレートは、全く合わないが、キリンビールの宣伝なのだからついでに配ったのだろう。ナッツの004_20250714132801 小分けは、問題なくビールのツマミと成るが、あと二袋ぐらいないと、試飲には足りない気がした。3種類のクラフトビールを約100ccづつの試飲だ。特に市販されている銘柄なので、新規性はないが、のどが渇いていると、ちょうどいいくらいの量である。居酒屋で、飲んでいるわけではないので、物足りなさを感じたのだが、約30分で、終了であった。

 

 「こんなものかな・・・!」と、思いつつ帰路につくのであった。

2022年7月20日 (水)

4つのC

 タダノ教授が現役時代に指導していた研究生たちを相手に、毎年述べていることがあるという。学問を続けるために、そして、社会に出ても、学習を続けるために、必要なことだという。つまり、タダノ研究室のモットーなのだ。それは、次の4つのCということなのである。

 

①Challenge:人生を自ら切り拓こうという「挑戦」、

 

②Confidence:チャレンジし続けることへの「自信・確信」、

 

③Concentration:自分にとって大切なことへの「集中」、

 

④Continuation:自分にとって大切なことを続ける「継続」、

この4つにつぎの2つをくわえて、6つのCということもある。

 

   Curiosity:学びへの「好奇心」

   ・Courage:転んでも何度でも起き上がるという「勇気」、

 

 これは、タダノ教授が初めて言い出したことではない。彼もまた、どこか誰かの文を引用しただけだという。彼はこれがエラく気に入ったとので、借用したのだ。

 

 小生もまた、この4つのCは、知っていた。(実践を心がけたが、思うようにはいかないものだ。)大学だか、高校の時の入学式で、エライ人が言ったのを覚えている。また、テレビで、教育学者だったか、教育の評論家が言ってたのを思い出したこともある。つまり、昔からある有名な言葉なのだろう。

 

 先日、中高一貫校の入学式の模様をテレビニュースで見たときだった。驚いたことに、そこの校長が、この4つのCを引用していたのである。新高校生ならば、英語がわかるので、そんなに問題はないが、新中学生は、理解できないのではないか。と、思ったのだが、大丈夫だったようである。なぜなら、この学校は、帰国子女がほとんどだったのだ。ヘンに納得した次第であった。

2021年7月25日 (日)

一杯目のビールはなぜうまい(限界効用の低減)

前回は、「ビールはなぜ美味い」ということで、勝手気ままに述べた記事をアップしたことがある。今回は、特に「一杯目のビールがやたら美味い」そのことを、タダノ教授と話題にしたときのことを記述する。

 

  暑い日に、冷たいジョッキに入れた一杯のビールはタマラナイですな。先日もタダノ教授と、ビアホールで、一杯やったときのことだった。焼きソーセージと、枝豆をアテにして、二人して、ジョッキを、おかわりしたのであった。小生が、「ビールは、最初の一杯目が、美味い!!」というと、タダノ教授も、「そのとおりだ!」と、言って、おかわりしたのである。

 

 タダノ教授が突然に「なぜ、一杯目ビールが美味いと思う?」と、小生に問いかけてきたのだ。小生は、そんな事考えたこともなかったし、美味しければそれで十分だと思っていた。しかし、タダノ教授によると、そこには経済学の理論が当てはまるというのだ。小生は、「???」の状態だった。「なぜビールの美味さと、経済学の理論が関係するのか?」と、タダノ教授に訊いてみた。簡単に言うと、消費の満足感によるものだというのだ。

 

 2杯めのビールは、明らかに1杯目のビールとくれべて、満足感が減っている。3杯目のビールは、2杯めと比べると、更に満足感が減っている。そして、ある量からは、ほとんど惰性になり、満足感が無くなる。個人差はあるが、その後、更に続けてビールを飲むと、今度は満腹感を通り越して、苦痛にな。タダノ教授によると、これは経済学で言うところの「限界効用の低減」であるというのだ。反復した消費によって、同じもので払うお金は一緒なのに得られる価値は下がるのだ!その他の例を挙げると、次のようなのがある。 

 

・最初に買った自動車が中古であっても一番満足感が高い。

 

•マッサージも最初の方が満足感が高い。

 

•テーマパークや、動物園など初めて行った時が最も面白いし、印象に残る。

 

•ピーナッツや、えびせんは、最初の一口目がもっとも美味しい。 

 

 これは、昇給でも言えることである。アルバイト料が月給5万円(どんなアルバイトなのだ!?)の人が1万円の昇給であれば、とても嬉しく感じるのだが、月給1千万円の人が、1万円の昇給程度であれば、ほとんど満足感は得られない。つまり、同じ金額なのに、得られた価値が下がるのである。大金持ちが、金だけでは、満足しない理由の一端が分かるのである。 

 

 また、食い放題のメニューの時に、なんとか損をしないように、もっとも値段の高い料理ばかりを、食べてもだんだんと飽きてくる(もちろん人による)。金額を考えたら、たしかに得しているのだが、満足感を考えると、やはりバランスよく料理を選んで、食べるほうがずーっと良い。量から質への転換だな。これが、食べ放題だけでなく人生を楽しむ秘訣なのだ。タダノ教授の説には、同意する次第である。しかし、彼によると、この学説は、19世紀のドイツの経済学者である「H.H.ゴッセン」が著し、ゴッセンの第一法則と呼ばれていると、教えてくれた。 

 

 やはりタダノ教授の経済学の知識もまた半端でない。ただ感心するばかりだ。

2021年2月10日 (水)

当世学生気質第35弾(同調圧力)

  タダノ教授と話していたときだ。「最近の学生は、本当におとなしくなって、論争や、議論をを好まなくなった。」と、ややヤケクソ気味に嘆いていたのだ。小生もまた、それを感じてる。おとなしくして、争いごとがないのを、求めている様に見える。周りの人の顔色をうかがって、トラブルがないようにしようと見えるのだ。

 

 日本人は、聖徳太子の十七条憲法の時代から、争い事を好まなかった。いつでも「和をもって尊しとなす」の精神だ。その上「ムラ社会」だから、なおのこと、チームワークをモットウとしないと生きていけない。どうしても争いごとが発生すると、ムラの長老に一任して、全員一致で、物事を決めるのだった。あくまでもチームの内輪の話だ。これが隣村に対してだと、例えば水争いなど、皆、自分のチームのために戦うのである。

 

 要するにチームの中からは、はみ出ないように時には自分の意思に反して、じーっとこらえるというのだ。長老のような立場の人間は、チームのために物事を決定するのだが、昨今は、自分のために、物事を決める輩が出てきたのが困ったもんである。これが、形を変えると「談合」になるのだ。”和をもって尊しとなす”が談合の温床かな。これはタダノ教授の理屈だ。(どう考えても屁理屈だ!?)しかし、これが、同調圧力である。本音は言わない。チームに波風を立てない。そして、大人の対応をする。こんな事を日本人は、小さいときから身につけているのだろう。

 

 まだ現役の頃、当時の上司(小生より若い)は、よく「空気を読め」と言っていた。正確には、一昔はやった「KY」(空気読めない:;今では、死語に近い)と言う言葉を使いたかっただけの上っ面のやつだった。そんな奴でも、小生には常に敬語を使っていたが、陰ではどうやら、あることないこと言っていたようである。とにかく空気を読むのが好きなやつだった。上ばっかり見て、忖度ばかりやって、同調圧力にかんたんに屈し、尻尾を振るやつだった。

 

 「長いものには巻かれろ」と言う教えを、今の学生がすでに学んでいるわけだ。『赤信号、みんなで渡れば怖くない。』を、すでに身につけているのだ。案外、忖度を十分に学んでから学生になったかもしれない。同調圧力に負けない「バンカラ学生」を探すのは、砂場から、ダイヤモンドを探すより難しいかもしれない。

2020年4月 2日 (木)

フェルマーの最終定理

 数学を、それも群論や整数論を少しでもかじったことがる人であれば、殆どが知っているという、有名なフェルマーの最終定理というのがある。数学者であったフェルマーは古代ギリシャの数学者が著した本を読んだ時に余白に書いたという定理である。1670年代のことであった。定理そのものは単純でわかりやすい。次の定理である。

1_3

 

 

  =3の時、この式を満たすx、y、zの値は存在しない。

 

私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。

 

 単純この上ないので、プロ・アマ問わず、いろいろな人々が、この証明に取り組んだのである。しかし、解けない。ほぼ360年にわたったのだ。

 

  フェルマーも罪なことをやったものである。この定理を解くことに生涯をかけたたくさんの数学者の人生を滅茶苦茶にしたのだ。ついでに、n=4のときは、フェルマー自身が証明し、n3,そして5,7,14はなんとか、著名な数学者が証明したのである。

 

 n=2のときが有名な、ピタゴラスの定理(三平方の定理)だ。これは、

 

「直角三角形の長辺長さの自乗は、他の2辺の長さの自乗の和に等しい。」中学校の図形の時間で、誰もが習う定理であり、100を超えるほどの証明方法がある。このあたりのことは、次のWEBが詳しい。

 

http://enjoyjazzlife.com/fermats-last-theorem

 

  ところがである。19936月にアンドリュー・ワイルズが「フェルマーの最終定理」を証明したという、ニュースが世界中の数学者の間に流れたのである。当時、小生は米国滞在中だった。なんとなく噂で、このニュースを聴いたものであった。過去に幾度となく流れた噂なので、懐疑的に聴いたものであった。最もこの後に、検証が行われて初めて、認められるわけであるが、199412月に、認められて、正式に証明された定理ということになった。今では、フェルマー・ワイルズの定理と言われているのである。

 

 この時もまだ、米国滞在中だった。、ニューヨーク・タイムズが、取り上げたのであるが当時の小生の英語の力では、ても理解できるものでなかった。ただ、フェルマーの定理が証明されたようだという程度の理解であった。

 

 帰国してから、フェルマーの定理の証明に関しての経緯が、本になっていて初めて分かった次第である。定理そのものは、とても小生の理解を超えているのだが、それに至る経緯は、ドラマチックなので、面白く読めた次第である。

 

 当然のことながら、フェルマーが天才ならば、これを証明したアンドリュー・ワイルズもまた、天才である。何しろ、10歳の時にこの定理に会い、証明したのが42歳のときだから、よくこんなに30年以上も考え続けていられたものだと思う。オックスフォード、プリンストン、ケンブリッジなどの大学で、博士号を取り、今は、オックスフォードで大学の教授をやっているというのだ。やはり天才は違うものである。後

 

 興味をひいたのは、ワイルズの証明には、日本人が大いに寄与しているということだ。この時、谷山・志村予想と言う事柄を証明することで、フェルマーの最終定理が証明されたというのだ。谷山も、志村も、ともに数学者だが、谷山は、自殺し、志村は存命である。まあ、日本人が一役買っている程度の理解で、小生は、十分な気がする。

 

 所詮天才が、考えたことは、小生の理解を遥かに超えているものだ。ただ、一つの定理が証明されたということで、大騒ぎするのが、天才たちをワクワクさせるのかもしれない。やはりこの精神は、理解できない。

2019年6月 5日 (水)

楽は好に勝り、好は知に勝る

 入社して、仕事が面白くなるのが3年目であり、つまらなくなるのもまた3年目である。その3年目に、ある先輩から、知識を自分の物にする方法というものを伝授されたのである。

 

 「一方的に、教えてもらったり知らされたりした知識は、自分のものにならない。では、どうするのか。まず第一に事柄に対して関心をもつことなのである。そうすれば、自分で調べる。そして理解して初めて自分のものになるのだ。大切なのは、このように関心を持つことなのである。」

 

 中々、立派なことを言うものだと感心したのであるが、数ヶ月後に別会社に移籍して去ってしまったのである。どうやら、その会社のほうが、待遇が良かったようである。 実社会というものは、利害と打算で動いているものなのだというのを、入社3年目に認識した次第である。それはともかく、彼から伝授されたことは、今でも忘れずに残っている。シンプルなだけに、中々の名言だと個人的には思っている次第だ。

 

 このことをタダノ教授と話していたところ、彼もまた、学生や院生に「まず、関心を持て、そして自分で調べろ。」と、指導していると言う。タダノ教授は、この事柄には出典があるという。『論語 雍也篇(ようやへん)第六 140に述べられているのだ。流石にタダノ教授の博識には、頭が下がる思いだ。論語にまで通じているのである。原文をしらべてみた。

 

 『子曰、知之者、不如好之者。好之者、不如樂之者。』

 

子(し)日(のたま)わく、之(これ)を知(し)る者(もの)は、之を好(この)む者に如(し)かず。之を好む者は、之を楽(たの)しむ者に如かず。

 

小生には、読み方も含めてなんのことかわからない。そこで、解説を見ると、

 

  孔子云う、「頭で知るだけでは、経験を通して好きになることに及ばない。好きなだけでは、一心同体となって楽しむことに及ばない」と。わかったようなきがするが、タダノ教授に、もっと分かりやすく説明してもらった。

 

 関心を持つと、 もっと詳しく知りたくなる。

 

 調べているうちに、その理解が、自分の糧となる。 

 

 そうすると、今度は、好きになる。

 

 好きにななると、 その事柄に関わること楽しむようになるのだ。

 

 そうなれば、その事柄に対しては、一体になるくらい精通するのである。(これは、タダノ教授の付け加えだ。) 

 

「なるほど。」と、感心したのであるが、これは、男女の関係にも連なるかもしれない。相手に感心があれば、相手のことを調べようとする。好きな食べ物、趣味に、家族・友人関係などだ。孔子は、論語で、このことを述べていたのかもしれない。

 

 いやはや、タダノ教授の知識の広さだけではなく、その実践には、ただ感心するだけだ。 

2018年10月 5日 (金)

大知は愚の如し

  このタイトルは宋の文人"蘇東坡"の言葉である。本当の勇気のある人は自分を表面には出さず、むしろ目立たぬ存在であり、いざという時には本領を発揮する。賢い人というのは、自分のもっている知識や学識をひけらかさない。賢者こそ平素は愚者のような振る舞いの出来る人なのだ。

 

  タダノ教授と互いに暇を見つけては、一杯やりながら、教育論をぶつけ合うのが、小生の最近の趣味となってしまった。ともに還暦を迎えたのだが、彼は、大学で研究生活を続けているのだ。


  21世紀のヒーローの
スティーブ・ジョブズ20世紀のジョブズの生活は、堕落した天使だった?)は、2005年、スタンフォード大学の卒業式で後世に残るスピーチ下ですね。スピーチの決めゼリフはもちろん広く知られた次の言葉だね。

 

Stay Hungry, Stay Foolish

   この言葉は、スティーブ・ジョブズが考案したのだと思っていたのだが、タダノ教授によると、オリジナルがあるのだと言う。 彼のスピーチをよく聞けばわかるはずです。この名句は1974年”Whole Earth Catalog”の廃刊号の裏表紙にあった言葉だ。ジョブズは昔の賢者の言葉を受け継いだのだ。そして、スピーチの締めくくりとして、として、それを卒業生に判ってもらいたく述べたというのである。 

 

 タダノ教授は、さすがに大学の先生をやっているだけのことはある。このスティーブジョブスのスピーチをしっかりと、聞いてその内容を覚えているのだ。有名な"Stay Hungry. Stay Foolish."(ハングリーであれ、馬鹿であれ)
くらいは、小生も覚えている。(ただし、この言葉だけしか覚えてないという寂しさであるが。)


 スタンフォード大学の卒業式のスピーチでは、スティーブジョブスは、生い立ちから、アップルの創設、そして、そのアップルを馘首になったこと。その後「NeXT」を起こして、ハリウッドのアニメ映画を世界初の全編CGで作ったことなどだ。結婚して、家族に恵まれたこと。その後、NeXTがアップルに吸収されてまた戻ったこと。さらに、膵臓ガンに冒されて手術をしたこと。 


  タダノ教授が詳しいので、小生は、感心するばかりだ。 ソレだけじゃない。小生思うに、この言葉は、「能ある鷹は爪を隠す」とか、「吠える犬はかまぬ」と同じ意味だね。 そして、「大知は愚のごとし」に通じるものがありそうだ。洋の東西を問わず、言い方が異なったとしても賢者の言葉は、同じ響きを持つものである。


 それにしても、スティーブジョブスには、もう少し長生きして欲しかったと小生は、思うのである。

2018年8月10日 (金)

トンネルダイオード

  東京通信工業(現ソニー)の半導体研究室の主任研究員だった江崎玲於奈が、1957年に発明したダイオードである。彼は、この発明で、1973年にノーベル物理学賞を取ったのである。当時学生だった小生と、親友のタダノ教授は、驚き、そして嬉しく思うのであった。彼は、日本人として4人目のノーベル賞受賞者である。それまでの3名は、湯川秀樹・朝永振一郎(ともに物理学賞)と川端康成(文学賞)である。

 

 物理学賞を受賞したのであるが、彼の功績は、理論物理というよりは、工学系の発見だった。理論物理は、特別な天才でなければ、中々思いつかない事柄であるが、工学系の場合は、もちろん天才が必要なのであるが、その学者が、発見発明しなくても、いずれ誰かが成し遂げたであろう、と、言うのがタダノ教授の信念である。地道な実験を繰り返して、新しい事柄や、セオリーを見出すのが、工学であるというのである。

 

 江崎玲於奈が東通工(東京通信工業)に移籍して、最初の仕事は、開発したゲルマニュームトランジスタが安定せずトランジスタラジオが不良品となることの対策であった。そのために、純粋なゲルマニュームを作り出すことで苦労していたと言う。その彼の助手として、入社3年目で学習院大学の物理を専攻していた黒瀬百合子という女性が、「純粋なゲルマニュームではなく、そのゲルマニュウムに不純物を添加させる実験をさせてください。そしてその特性を調査したい。」という希望を江崎玲於奈に伝えたと言う。そして、PN接合を作り、その特性を測定したのである。測定したのが、鈴木隆という実習生だった。そして、ノーベル賞の対象となったトンネルダイオードの発見となったのである。

 

 つまり、黒瀬(後に宮原)百合子が提案し、鈴木隆が実験測定し、江崎玲於奈が、理論考察を加えて仕上げたのが、トンネルダイオードというのだ。そして、特許は、江崎玲於奈・黒瀬百合子の連名で1957年に提出されたというのである。タダノ教授によると、トンネル現象については、江崎玲於奈は移籍前の神戸工業(現富士通テン)時代から、考察していたらしい。この現象を実験で見出した時に、すぐに理論考察を加えたのである。

 

 タダノ教授は、トンネルダイオードの発見のいきさつをこのように、詳しく教えてくれた。それならば、黒瀬百合子は、合同で、ノーベル賞を受賞しても良かったのではないか?タダノ教授によると、どうやら、ノーベル賞の受賞前に、寿退社されていたので、対象とならなかったようだ、と、勝手に推論していた。もし受賞していたら、日本人女性として、初めてのノーベル賞受賞者となっていたろうに、残念である。

 

 特許だけ連名の栄誉では、黒瀬百合子の業績が埋もれてしまう。そこで、発明学会が彼女に陽を当てようとして、1974年の発明の日である618日に表彰しようとしたのだが、その4日前に、ガンでこの世を去ったのである。また、このトンネルダイオードの応用特許の殆どが、外国勢に取得され、ソニーには、利益をほとんどもたらさなかった。特許取得の失敗例である。ソニーはその後、特許戦略を見直すことになった。(要するに基本特許だけでは、ダメだということだ。)

 

 江崎玲於奈は、ノーベル賞を受賞した時には、米国IBMに勤務しており、その後、筑波大、芝浦工大の学長を務めたのである。

2018年2月20日 (火)

日本語を教える研修会

 テレビや新聞、そしてインターネットのニュースとして、日本に住む外国人の話題が、時々紹介される。そして日本語の問題と併せて、彼らの国のルールとの違いによるトラブルが増えているのもまた事実である。小生の住んでいる伊丹市も同様に、アジア圏からの技能実習生や、日本語研修生、ALT(外国語補助教員)などが、増加しているのである。

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 そんななかで、伊丹市国際・平和課が主催で、日本語ボランティア研修会(左図)を開催したのである。形だけでも在留外国人をサポートしているふりをするのが、実にお役所仕事らしい。少ない予算で、やりくりしなくちゃいけない担当者には、同情する余地があるのだが。(実は担当者をよく知っているのだ。)

 

 今回この研修会に参加した理由は、2つある。一つ目は、これが無料なのである。もう一つの理由は、日本語の理解できない学生にいかに授業を理解させるのかのためのきっかけをつかみたいからだ。日本語ができないと言っても、外国人ではない。授業についていけない学生のことだ。小生から見たら、彼ら(彼女ら)は、日本語の理解できない外国人と同じである。一番の親友であるタダノ教授に教えてもらうつもりでいたのだが、彼の大学では、日本語の理解できない日本の学生はいない(普通は当たり前!)とのことで、アドバイスできないと言われたのだ。

 

 小生が担当している授業は、かなり専門性の要求される講義である。当然、理解できない学生もそれなりにいる。彼らを中心に授業をすすめると、そこそこに優秀な学生にとっては、退屈な内容になってしまう。そうは言っても、落ちこぼれ学生をつくるのは、時間と金の無駄だし、社会的な損失でもある。少しでも彼らに、理解させて、有意義な一時を与えてやりたいものである。まさにボランティアの様相である。

 

 この研修会が、今後の講義に役立つ内容であったことは、疑いない。以下がポイントだ。当前のことであるが、実例を持って、話されると、納得力があるのだった。

 

①わからない言葉と、わからない内容であっても、聞く人の目線で、ゆっくりと話すことで、内容を伝えることができる。

 

23の指導テクニックをそれなりに、教わったが、いちばん大切なのは、サポートするという熱意が大切なのである。

 

 ごもっともである。