6月8日(火)
手術の日である。そのための、一泊二日の入院だ。まずは、予約票に記載されている時刻(10時15分)までに、伊丹市民病院へ向かう。のである。家から10分なのだから、自転車が都合いい。実は、自転車で行くことは、勧められていなかったが、1泊するのだから、多分問題なく自転車で帰宅することができるだろうと思ったのである。乗ることすら出来なかったら、自転車を押していけばいいのである。と、気楽に考えた。駐輪場に駐めて、入院受付に向かう。順番待ちの受付券を発券機から受け取る。しばらくすると、小生の番号が呼ばれたので、受付に行く。そこで、保険証、診察券、手術同意書、兵庫県発行の高額医療限度額認定証を提出する。また、お薬手帳と、普段飲んでいる高血圧とコレステロールの薬を翌日分渡しておく。明日看護師が病室にもってくるのである。
一通り、事務処理が終わると、受付のネーちゃんは、俺を入院病室のある西病棟4階へ連れて行ってくれた。そこで、担当の看護師に引き渡された。テレビで見たところの囚人を収監して、4人部屋の雑居房に案内されるようなものだ。差額ベッド代がかからないように、4人部屋にしたのである。一泊ぐらいなので、我慢できるだろうと思ったのである。(しかし、これが間違いであったことは、後でわかった。)早速担当看護師のネーちゃんからの問診だ。今までの病歴や入院の経験、そして手術の経験などを訊かれたが、素直に答えればいいのであるから、難しくない。
問診の後で、看護師が手術着をもってきてくれたので、それに着替えておく。昼飯は、12時からなので、1時間位病室のベッドに横になって待っていればいい。病室のベッドの脇にあるテレビは、専用のテレビカードを購入しなくてはならない。看護師が、券売機まで一緒についてくれるというが、丁重に断った。何しろ、目の手術なのだから、テレビなど楽しむことは出来ないのである。感がしは機械的に申し出てくれたのだろうが、なんの手術のために、入院するのかをわかっていれば、そんな申し出はしないだろうに。
この間に、スマートフォンのradikoアプリをセットして、イヤフォンで聞けるようにした。イアフォンは、ブルートゥースの骨伝導型なのでケーブルがじゃまになることはない。そして耳をふさぐわけではないので、外の音は全部聞くことができるので、便利である。呼び出されてもすぐに返答できるのが、このイアフォンである。難点は、2万円近くの価格であることだ。普段は、ランニングのときに使用しているイアフォンだが、こんなときには、便利だ。
12時になると、昼飯である。トレーに入れられてきた。小生は、普通食である。食事制限はないのだが、病院の食事は、美味しいとは言い難い。まして、これから手術が待っていると思うと、味気ないものであった。メニューを思い出せと言われても思い出せないくらいのものだった。看護師が、1時半から手術だと告げてくれたので、それまでは、radikoを楽しみながら、連絡を待つ。1時40分頃に、看護師から連絡があり、手術の準備が整ったという。
早速車椅子に乗せられて、手術室に向かう。自分で歩いて、手術室に向かうことはできるのだが、車椅子を利用することが、ルールになっているという。手術室は2Fだ。その後、入り口で、手術担当者に渡された。(まるで、宅配の荷物みたいな扱いである。)担当者に、手術室の稼働率を聞いてみた。すると、8つの室があり、ほぼフル稼働だとのことだ。それだけ病人が多いということかな。
小生の入った手術室は、そんなに大きくない。真ん中に手術台があり、その上には、照明だ。テレビでよく見なれたものであった。執刀医と助手に研修医と補助の看護師とで合計8名の担当スタッフがいた。全員女性である。手術着は、上下とも濃いブラウンのユニフォームであった。車椅子で、入場するわけなのだが、8人の女声スタッフが一斉に挨拶するわけなのだが、チョット異様な感じがした。すぐに、手術台へのせられたのである。(自分でのったのだが)思ったより手術台というのは狭いものであった。執刀医は、ブラウンのユニフォームのままでどうやら手術を行うようである。ヘアキャップだけはかぶっていたのだが、”ドクターX”が手術中にやっているようなエプロンはしてない。そんなにややこしい手術ではないからなのだろうと、勝手に解釈した。眼瞼下垂症の手術は、部分麻酔ということなので、まずは、目だけを出して、全て、布で覆われた。
そして、手術前の確認だ。執刀医が、患者名(俺の名前)と手術名(眼瞼下垂症治療手術)、それと手術時間(約2時間であった)を口頭で言う。担当スタ風が皆うなずいて、応答するのだ。両目の周りに麻酔を打たれるんだが、これが結構チクチクしていたい。幾度となく、声が出てしまう。その都度、執刀医は、”もう少しだから我慢して”との返答である。手術中にも麻酔が切れて、幾度となく追加してもらうはめになり、その都度痛い思いをするのだった。
局所麻酔であるから、手術室の話は全部聞こえる。指導医が、研修医に対して、指示を出しているのが、よく分かる。それだけでなく、笑い声も聞こえるのだ。「もう少し真面目にやれ!」と、言いたいときもあった。時々目を開けさせられると、3人から、5人の顔が見える。というより、覗き込まれているというのが正しい表現だ。手術用の照明に合わせて、5人の顔を見るのは、まさに『マンガ』だ。最後に、ガーゼを両目に当てて、絆創膏で留めて、手術は終了だ。幸いなことに大きな問題はなかった。
手術台を降りて、車椅子に乗る。来た時と逆に、今度は、手術室を出て、担当の看護師に引き継がれた。時刻を聞くと、3時半とのことだ。2時間の予定が1時間半で終了したことになる。病室に戻るわけだが、目にガーゼを当てているので、前が見えない。看護師に車椅子を押してもらって、たどり着くしかないようだ。ガーゼを当てているが、目の下側は、開放されている。つまり、たった姿勢であれば、足元が見えることになるのだ。不自由であることには変わりないが、それでも病室から一人でと洗面所に行くことはできそうである。一旦病室に到着して、看護師から色々と、これからのこと(今晩のこと)について、注意を受ける。まずは、手術後の洗面所へは、看護師が付添はなければ、ならない規則だとのことだ。洗面所へは用がないが、まずは、付き添ってもらい、廊下で待ってもらうことにした。それから、手術着を脱いでパジャマ(といってもT-シャツ、短パン)に着替えた。
夕飯は、6時からというので、それまで時間をつぶすのであるが、ベッドに横になって休むことにした。看護師が、目の湿布剤である”メオアイス”(病室に連れて行かれたときに看護師に渡した冷却・保冷剤)をもってきたので、ガーゼの上から目に当てて、しばらくじっとしていることになる。目が見えないから、仕方がないのだ。正確には、下目つかい(こんな言葉があるかどうかわからないが?)”ならばなんとか見ることができる。ゴルフのティーショットの時にゴルフボールを見る目つきだと思うとわかりやすい。
ベッドに横になり、スマートフォン準備する。全国のラジを番組を聞くことができるアプリのradikoが、退屈しのぎにはもってこいである。ケーブルが無いので、寝ながら、自由に顔の向きを変えられるのも嬉しい。6時になると、看護師が、夕飯をトレーに入れてもってきた。栄養士が考えたメニューなのだろう、それなりの味であった。しかし、味気ないのは変わりがない。病院食が美味いという輩には、めったに会うことがないのだが、この病院の食事がまずいわけではない。サラダや、惣菜にご飯が計算されたように出されているのだ。そんなに食欲があるわけでないから、丁度いいのかもしれない。15分もあれば、食事は終わる。7時ころ看護師がトレーを片付けに来た。そして手術後の炎症止めのための飲み薬を持ってきた。漢方薬であった。これも又、あまり美味くない薬だった。当然の味かもしれない。ついでにメオアイスの保冷剤を交換してもらう。2時間も経つと、常温に戻ってしまうのだから仕方がない。あとは、消灯が10時なので、それまでもそれからも、ラジオを聞きながら、ベッドに横になるしかないのだ。ただし、10時をすぎると、廊下から聞こえてくる話し声がなくなるのは嬉しい。
10時には、ラジオのイアフォンを外して、ゆったりと寝入る準備だ。消灯になれば、静になると思うのは大間違いである。大衆部屋(4人部屋)なのである程度は覚悟していたのだが、同室の奴らのいびきや物音が大きくて、寝られたもんでない。横になって、疲れを取る程度のことしか出来ないのだ。1泊だけなので、我慢ができる範囲である。それにしても、うるさいいびきであった。ほとんど一睡もできなかったのは仕方がないことだ。それがやならば、個室にすればいいのだが、一番安い病室ですら差額に8800円支払わなければならない。上等な部屋だと17600円の差額なのだ。小生のような庶民は、大衆部屋で十分である。何事もガマン・ガマンが大切なのだ。
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