ガリバー旅行記(ヤフー!)
ガリバー旅行記は、絵本として世界中に読まえれている本だと思っていた。小生が、読んだ(正確には見た)のも、たしかに絵本であった。せいぜい、小学校の低学年までの本だったと思う。ガリバーが行ったのは、小人の国と巨人の国だけだった気がするのは、仕方がない。あまりにもイメージが記憶に強く刻まれてしまっただけでなく、、アニメになってさらに広く子どもたちに知られることになったのだから、当然だ。すっかりと子供向けの内容だと思っていたのである。
文庫本で読んだのだが、、ガリバー旅行記は、強烈な「社会風刺小説」であるのがわかった。イギリスの政治と、生活を面白く避難して冷やかしているのだが、その内容は、十分に現代にも通じる。それも日本の政治に通じるのだから面白い。そして、この作者であるジョナサン・スウィフトをシェイクスピアと同じくらいかそれ以上にイギリス文学作家として推理小説家の阿刀田高が書評で絶賛しているのである。スウィストは英国人というより、アイルランドの出身なので、イギリス人と言えるかどうかはわからない。それに彼は、18世紀の活躍だし、シェイクスピアは、17世紀の作家である。今回読み直して、絵本の時には、気が付かなかった発見があった。
まず、ガリバーは医者であった。後には、船乗りになる(正確には、船医)だ。第一章では、小人の国の名前が、「りりバット国」であり、嵐にあって流れ着く。(これは知っていた。)この国を気に入ったが、「国王が、目を攻撃して、盲目にするつもりだ。」と、親切な小人が、密告してくれて、仕方なくその小人の助けで、船に乗って脱出したのであった。また、第二章では、巨人の国(プロブディンナグ国)にも嵐で流れ着くのだが、今度は、籠に入れられてしまうのだが、それを鷲が加えて、海に落とし、脱出したのだ。そして親切な船に助けられて、故郷に帰ったという。
第三章では、空飛ぶ島「ラピュータ」、磁鉄鉱の豊富な「バルバービ国」、そして不死の人生を送っている人が住む「ラグナグ王国」、それから日本にもやってきて江戸から、長崎へ護送される。そしてオランダ船に乗り、イギリスへ帰国するのだ。ラピュータが、ジブリ作品で使用されたわけがわかったということかな。
第四章(最終章)では、馬の姿をした種族(フウイヌム)が、戦争や疫病のないエリート主義のカースト制を保持しているのだ。まさにイギリス貴族を風刺しているのである。そして、このフウイヌムを悩まさしているのが、「人類を否定的に歪曲した野蛮な猿のような種族」である”ヤフー”である。野蛮で、争いの好きな家畜人なのだ。ガリバーは、ヤフーに自分を重ねて、見るようになり、精神を病んで、ポルトガルを経由して、イギリスに帰国する。
スウィフトは、かなりの皮肉家であり、特に女性嫌悪がこの旅行記の随所に現れている。多分に、コップレックスの現れなのだろう。また、第四章では、ヤフーに糞尿をかけられる場面が設定されていた。人間嫌いのスカトロ趣味もあったのかもしれない。「ラピュータ」と「ヤフー」の語源を知ることができたことは、新しい発見であったが、この「ガリバー旅行記」が文学的に価値があるかどうかは、わからない。しかし、絵本としてみることができる部分は、少年少女たちにとってわかりやすく素晴らしいと、評価してもいいのではないか、と、感じたのだ。
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