グローバル化と国際化
ダダノ教授は、現役を離れたので、自分の研究室の学生の指導だけになっている。それでも彼のもとには、多くの学生が、アドバイスを求めにやってくるという。学生の面倒見が良いし、話好きなので、研究を離れても話題が豊富なので、自然と集まってくるという。女子学生や、東南アジアからの留学生からの人気も、あるようだ。
タダノ教授と、酒杯を傾けて話し込んでいたときのことである。彼が、学生たちに日本技術の発展と、国際的な位置について、議論をしたという。ほとんどの学生が、日本の技術を世界に広めることに対して大いに進めるべきという考えであったし、それは予想されてことでもあったのだ。技術や科学の発展には、グローバル化が欠かせないというわけなのだ。そこで、このことに反対する学生はいなかったのは、当然だ。しかし、学生の大半が、グローバル化と、国際化を同義として、捉えているのには、タダノ教授は少々びっくりしたという。
タダノ教授によると、グローバル化と、国際化は、異なるというのだ。たしかに、英語では、グローバリゼーションと、インターナショナリゼーションの違いがあるが、どう違うのだろう。タダノ教授によると、グローバルというのは、まさに地球規模のこと。ボーダーレス、つまり、国境がないことであるという。ビジネスでは、世界標準を作り、それを画一的に展開することである、と、いう。例えば、マクドナルドや、アマゾンの世界展開などをいうのだ。スターバックスなども、同じロゴで、世界中に事業展開している。たしかに地球規模であることは納得する。一方、国際化というのは、外国と交流することであると、タダノ教授は認識していた。多くの国との交流のことをいうのである。そのためには、相手の国の習慣や、歴史、伝統などを理解することから始まるというのだ。
タダノ教授が周りにいる学生に、「日本が海外に進出にあたり、日本の良さを展開し、事業や科学技術を広めていくには、どうしたら良い。」と、質問したことがあったのだ。そうすると、大半の学生は、「まず、相手国を十分に知って、国ごとにある多様性を文化・伝統を理解し大切にしなくてはならない。」と、答えたそうだ。グローバル化というのは、どうやら、国際化のことと、タダノ教授は認識したようだ。これは、学生だけでなく、日本人の大半がそう考えているとしても間違いなさそうだ。
ただし、タダノ教授は、国際交流を進めることで、事業によっては、グローバル化が進むことになることを否定はしてない。グローバル化と、国際化という大きなテーマに関して、これからの社会に出る学生達に、十分に考えてほしいというのが、タダノ教授の願いである。小生も、同感である。
最近のコメント