アナ・ヴィドヴッチat伊丹アイフォニックホール
2年前に女流ギタリストに関しての想いのままを記事にしてみた。すると、どうだろう、今年の6月の市が発行している会報に、アナ・ヴィドヴッチが10月8日にアイフォニックホール(伊丹市立音楽ホール)で、演奏するという記事が載っていた。リサイタルだ。日本での公演は、2005年から行われてい
るのだが、大都市が中心の活動のために、なかなか生の演奏を聴く機会がなかった。CDやDVDそしてYOUTUBEでは、彼女の演奏を楽しむことができるのだが、ギターの運指(指使い)を実際に見ることができるのだ。特に彼女の演奏では、右手の運指が曲によっては他のギタリストとは、異なっているので、興味深い。
アナ・ヴィドヴィチは1980年クロアチア生まれ。早くから天才少女として注目を集め、著名な国際コンクールで優勝し、CD・DVDも多数リリースしているのだ。今回の演奏を聴くに当たって、運指をできるだけ、はっきり見るためには、最前列の席を確保しなくてはならない。そのために、前売り初日に1時間ほど前から並んだ。すでに、3名ほどギター愛好家が並んでいた。最前列の席を確保できたのだが、売出し開始時刻には、結構な人数が並んでいた。やはり人気があるのがわかった。今回が、10回目の来日ということだ。クロアチアの芸術家には、親日家が多いのかもしれない。
当日は、13時30分に開場なのだが、10分前にはロビーにたっぷりと観客がいた。やはり、人気がるのがわかった。席は、彼女の演奏している真ん前だ。ギター演奏の運指から、演奏中の表情まで、よく分かる。まさに息遣いまで聞こえる場所である。使用しているギターは、ネットの情報だとオーストリアの製作者「レッドゲート」である。音量があり、遠くまで透き通った音色を響かせることができる。(その分価格が高い。多分200万円前後だろう。)
演奏プログラムは、ギターの名曲を集めたものであり、ポピュラーな曲であった。彼女のテクニックは抜群であった。「アルハンブラの想い出」は、トレモロの名曲であり、多くのギタリストが演奏する(小生も弾くことはできるが、聴かせるはど上手くはない)が、彼女は、右手の運指が一般的出ないのが特徴だ。通常は、親指、人差し指、中指、薬指を使って、トレモロ演奏するのだが、彼女は、薬指を使わない。そのために、速さはないのだが、柔らかさが演奏に出ていた。また、「アストウリアス」は、難曲の部類であり、プロでも曲になってない場合があるのだが、彼女の演奏は、流れるように、ギターを奏でていた。「ムーー!流石だ!」
アストロ・ピアソラ(アルゼンチンタンゴの作曲家)の曲を挑戦的に聞かせてくれたのは、嬉しかった。その中でも「ブエノスアイレスの夏」は彼女の気に入っている曲だけあって、十分に弾き込んである印象を受けた。プログラムが終了後は、アンコールになるのだが、彼女が選んだのは、マイヤーズ作曲「カヴァティーナ」とアグスティン・バリオス作曲の「最後のトレモロ」の2曲だ。彼女が好んで、演奏する曲である。
今回のリサイタルの聴衆が、素晴らしかった。曲の初めには咳一つする人がいなかったのと、曲の終わりを本当に理解しており、途中で、拍手したり、声を上げる人もいなかった。演奏の中で、楽章が変わるごとに、完全な静寂がやってくるのだ。これは、素晴らしい。(過去に聴衆として参加したリサイタルでは、これがわからず、途中で、拍手する人がいるのだ。無知丸出しの嘆かわしさである。)聴衆は、流石に、ギター愛好家がほとんどだったようだ。
演奏中は、録音と、撮影は、禁止だが、ステージ終了後に、CD購入者のサイン会があり、そこでは、写真撮影OKとのことで、記念写真を撮った。ステージでは、とても大きく見えたのだが、サイン会では、普通の外国人の「めんこいネーチャン」に見えるのだから不思議である。
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